日 時 : 2014年 9月 7日 13時00分〜16時00分
場 所 : 三重県立緑ヶ丘特別支援学校 視聴覚室
参加者数 : 25名
概 要 : @ PECSガイダンス(対象者は準会員のみ:10名参加)
・ 参加者には、(ガイダンスの内容が理解しやすくなるよう)事前に参考資料を配布。
・『PECSの概要と効果』の講義を行った。
「カードを渡す」・「距離が離れている人にもカードを渡す」指導のデモを行った。
A 実践報告(実践報告以降は全ての会員が参加)
○ 事例は、玉城わかば学園 小学部 児童のケース
幼少期から現在までの歩みや、絵カードのコミュニケーション学習の経過と課題を母親が報告。
昨年度担任による「学校での様子について」の報告もあった。
・ 6才の時、主治医の勧めで、家庭と言語指導教室で絵カードのコミュニケーション学習を始める。
好きなポテトチップスのカードをすぐ渡せるようになった。弁別しての要求が難しかった。
支援学校に入学し、入院や学校との連携がうまく行かず、指導が進まなかった時期があった。
・ 5年生になり、学校と密に連携し学習を進めた。弁別ができるようになった。
親しい人以外にもカードを渡すことができるようになった。スケジュールの導入により、見通しを
持って行動できることが増えた。コミュニケーションスキルが向上し、笑顔が増え、情緒が安定した。
・ 「家にはプロンプターが不在で、フェイズ2を正しく指導できないこと」、「絵カードを渡しても、
アイテムが得られる前に、他の物に興味が移ってしまうこと」が家庭での課題である。
・ 学校の指導で悩まれたことは、「カードはイラストか写真か」、「カードの大きさは?」、「カード
に文字を入れるか」など。
B デモンストレーション
・ 上記A実践報告のケース児童にお越しいただき、『フェイズ3(弁別)指導場面』の母親によるデモン
ストレーションを行っていただいた。
・ ブックにある複数のカードから好きなアイテム(クルクルチャイム、音の出るおもちゃ、海苔など)の
カードをしっかり弁別し、要求することができた。音の出るおもちゃは、20曲くらいあるカードの中
から、好きな曲のカードを選ぶことができた。
・ デモ後に助言者の先生が、対応のチェックをしてくださった。
児童が海苔のカードを弁別し要求したので、海苔とおもちゃを目の前に出すと、海苔を選ぶことが
できた。
C ミニグループ討議
・ 実践報告・デモの後、参加者によるグループ討議を行った。
席の近くの3〜4名で情報交換を含めながら、ケースに関しての討議を行った。
・ 討議後は、各グループで話し合ったことを発表していただいた。
「家庭で学習を進めていることはすばらしい」、「(めくるのが難しいということなら)ブックを
壁から外し、机上に置いたらどうか」、「徐々にできることを増やしていくスモールステップでの
指導や般化が参考になった」等の意見・感想が出された。
D 門先生、久賀谷先生ご助言
・ いろいろなことがありながら、学習を継続された実行力が素晴らしい。
PECSは、物的好子と社会的好子を組み合わせて指導すると効果的である。
もう少し、社会的好子(褒め言葉など)を使うとより効果的であろう。
・ フェイズ1、フェイズ2を丁寧に指導することが大切。
伝わった成功経験をたくさん積むことが重要であり、後の指導にも影響する。
・ 好きなアイテムのカードを渡してもすぐ別の物に興味がいくことについては、好子のアイテムを
一か所に集めておき、すぐ渡せるように準備しておく。アイテムを渡すまで「社会的好子」を提供
する。「まって」の学習も取り入れる。
・ PECSは、般化を始めから計画する。指導者や指導場面の般化を計画した方が良い。
・ カードに文字を入れるかどうかという話があったが、文字があった方が相手に伝わりやすい。
また、イラストか写真かについては、イラストの方が理解しやすいし、語彙の拡大にもつながる。
・ ご家庭でプロンプターが不在ということであったが、ご兄弟の方がビデオを撮影してみえた。
おこづかいというルールでプロンプターになってもらったらどうか。
学校では複数の職員で指導している。学校に協力してもらい指導を進めてもらう方法もある。
《ポイント》
◇ 「自発性」を育むために、フェイズ1、フェイズ2が大切。
◇ フェイズ1、フェイズ2は、プロンプターを入れしっかり指導する。
◇ 指導では、社会的好子を効果的に使用する。