日 時 : 2014年12月 7日 13時30分~15時30分
場 所 : 三重県立稲葉特別支援学校 プレイルーム
参加者数 : 75名
概 要 : ① 講 演
演者:門眞一郎 先生(京都市児童福祉センター 副センター長)
演題:『PECSによる表出コミュニケーションの支援』
概要:・自閉症スペクトラムのコミュニケーションで大切にしたいこと
・PECSの6つのフェイズ・
・重要なコミュニケーションスキル
上記について、多くの動画を用いて講演を行っていただきました。
- 以下、 ポイントのみのまとめ(具体的な指導内容は省略) -
1.自閉症スペクトラムのコミュニケーション支援について
・音声言語だけでは理解しにくい。
視覚的な手がかりやICT機器、構造化等で伝えると理解しやすい。
・自発的表出を教えるには、PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)が
適している。
2.❝コミュニケーション支援❞の 今までの欠点と解決策
・表出コミュニケーション指導の多くは、「これは何?」などのコメントから教えている。
これでは意欲が高まらないため「要求」から教える。
・応答のコミュニケーションから教える場合が多く、自発のコミュニケーションが身につき
にくい。また、応答のコミュニケーションは指示待ちになりやすい。
・表出コミュニケーションは「自発的な要求」から教える。それには、PECSは大変有効で
デメリットもない。
【PECSの優れた特徴】
◇PECSは最初から自発的コミュニケーションを教えるため、実用的・機能的である。
◇トレーニングは無誤学習のため意欲が低下しない。
◇PECSは「身体プロンプト(手助け)」が中心。最初は面倒だが、順に減らしていき
やすく自発性を育みやすい。逆に「言葉のプロンプト」は簡単に使用できるメリットが
あるが、手助けをやめにくく減らしにくい。
◇PECSは、最初から計画的に好子・人・場面の「般化」に取り組む。
◇人に手渡すので相手を意識するようになる。
◇前提スキルが少ないので、早い時期からの学習が可能。
◇ことばの発達を促すことが多い。
◇材料費が安価。
◇PECSにより機能的コミュニケーションが可能になる。それに伴い、状況にそぐわない
行動が減る。
【まとめ】
■PECSは補助代替コミュニケーションなので、ことばの代わりであり、いつでも使用
できるようにする必要がある。
■(ことばを使ったコミュニケーションを想定した場合)必要な絵カードの数は想像以上に
多くなるため、十分な事前準備が必要。
■自閉症スペクトラムの人に、視覚的な補助・代替コミュニケーションを選択できるように
しないことは権利の侵害であり・差別的行為であり・心理的虐待であり・ネグレクトで
ある。[権利条約でも謳われている]
■PECSのワークショップについては、
ピラミッド教育コンサルタントオブジャパンの
ホームページを参照。
② 質疑応答
〔質問1〕フェイズ3・フェイズ4では必ず2名のプロンプトが必要でしょうか?
- 回答 - 2名プロンプトが必要なのはフェイズ2までです。
〔質問2〕どうしたらPECSが広がるでしょうか。
- 回答 - これは全国的な課題です。実践を撮影し、動画を発信していくことが大切。
視覚的に訴えた方が有効。
③ 研究会から
・研究会の3年間の歩みを簡単に報告し、ご支援いただいた企業等を紹介。
・実践やワークショップの受講、研究会主催活動への参加のお願い。
《ポイント》
◇ 自閉症スペクトラムの表出コミュニケーションは、自発的な要求から教える。
◇ 理解コミュニケーションは、視覚的構造化を十分に活用する。
◇ PECSの学習は撮影し、動画により情報を発信する。