「Picture Exchange Communication System」の頭文字を取り、PECS(ペクス)と言います。
自閉症などで、自分の気持ちを言葉で伝えることが困難な人々が言葉の代わりに絵
カードを使って自分の気持ちを伝える、≪絵カード交換式コミュニケーションシステム≫のことです。
自発的にコミュニケーションをとることができるようになり、「自立や社会参加」にもつながります。
PECSは、1985年にアメリカのデラウエア州で、アンデイ・ボンデイさん、ロリ・フロストさんにより
開発されました。
最初、デラウエア州の自閉症プログラムで使用されてから、「PECS」はコミュニケーションの自発の要素に
焦点を当てたものとして世界約10カ国以上に認知され、使用されています。
複雑で高価な教材を必要とせずに教師・施設職員・家族なども御自身で作ることができ、様々な場面で簡単に使用
できることが特徴です。
絵カードを使って、自分の気持ちを伝えられるようになります。
その経験が「もっと伝えたい」という意欲にもつながります。伝える成功経験が自信を培い、
自己肯定感が高まることにより、状況にそぐわない行動(問題行動)が減ります。
また、適切な行動が増えることで、コミュニケーションも積極的にとれるようになるため、
社会性が劇的に向上します。
それにより本人も周囲の人々も笑顔が増え、生きることが前向きになるとともに、中には
発語の発達が促進される子もいます。
PECSは体系化された指導プログラムです。
「絵カードの渡し方」から始まり、「カードの弁別」・「カードの文章構成」・「属性語」・「応答による要求」・
「コメントする力」を計画的・系統的に学習します。
基本のプログラムに加え、その他の重要なコミュニケーションの学習も行います。
具体的には、「援助の要求」・「休憩の要求」・「はい・いいえの応答」・「指示の理解」・「待つ、ダメの理解」などの
コミュニケーションに必要な学習が用意されています。
生活の質の向上のみならず、将来の進学や就職にも役立つはずです。